イラストレーターにとって、ポートフォリオサイトは、名刺代わりのようなものです。
なるべくお客さんの目に留まるようなサイトを作りたいですよね。
個人で、WordPressなどで制作するのも気ままでいいかもしれませんが、そんなスキルも時間もない、という人も多いと思います。著者もそうです。
そこで、今回は、有料でイラストレーター向けのポートフォリオサービスを提供してくれる企業・団体を特集しています。
料金等は2024/1現在のものです。
有料ポートフォリオサービスに登録するメリット
ポートフォリオサービスに登録する利点は、
別のイラストレーターの検索でやってきた人が、ついでにあなたの作品も見てくれる、という可能性がある
ことです。
ぽつんと一軒だけ存在する商店よりも、商店街のほうが、人が集まりやすいのと同じです。
人によっては、ポートフォリオサービスに登録しただけで仕事のオファーが来た、という人もいます。(※来ない人のほうが多分多いです)
著者の取引させていただいた出版社の方も、イラストレーターの登録サイトを見て、イラストレーターを探したりする、とおっしゃっていたので、そこに作品を置いておくことで、目に留まる可能性を増やせます。
それに、サイト構築スキルがない人にとって、WordPressでのサイト制作は、ハードルが激高です。
・それでもどうしてもWordPressで作りたいという人はこっちの記事をどうぞ↓
WordPressにくらべて、作品をUPするだけの状態にしてくれてあるポートフォリオサイトは、とても時短で無駄がありません。
駆け出しのイラストレーターにとって、あまり安くはない年会費がかかりますが、サイトの構築、メンテにかかる手間を、お金で買うようなイメージです。
また、無料のポートフォリオサービスにはない、サポートの手厚さも魅力です。
作品審査がある
今回紹介する3件のポートフォリオサイトはすべて、登録するのにイラストの作品審査があります。
え、作品審査があるの? やだな、落ちたらどうしよう。
と登録申請を躊躇するかもしれません。ですが、落ちても悪影響があるわけではありません。何度でも申請できます。
各サイトによって細かいところは違いますが、作品を指定の点数、メール送付またはフォームから送信して、しばらく待つと、当落のお返事が来る、というのがざっくりした流れです。
審査制の良さは、その分、会員のクオリティが一定は保証されているという点です。
つまり、
そのポートフォリオサイト(イラストレーター登録サイト)に属しているというだけで、一定以上のレベルのイラストが描けるイラストレーターとして、見てもらいやすい
というメリットがあります。
ハクが付くんですね。
平たくいえば、そういう、イラストレーター向けのビジネスなんですけど。
有料ポートフォリオサービス3選
シュガー
1986年に設立された、フリーのイラストレーターのための登録サイトです。無料会員と有料会員があります。登録した場合、お仕事が来ることもあるそうです。
そのため、登録時に、お仕事を受けられる絵描きかどうかが審査されます。審査は随時ですが、18歳以下は基本的に登録NGのようです。
無料会員も有料会員も登録には審査が必要です。
審査に通過すると、自分だけの作家ページがもらえて、そこに作品を載せることができます。無料会員は4点まで、有料会員は100点までUP可能です。
メリット(有料会員の場合)
- ネットが苦手な人は、作品を代理でUPしてもらえる
- 経験豊富なイラストディレクターにビジネスの相談や作品制作のアドバイスなどが受けられる。(来社・要予約)
- シュガー発刊の「イラストBOOK」シリーズ本に作品1点と、弊社作家ページへリンクするQRコードを掲載。
このイラストBOOKは各メディアに送付されるようので、掲載されるだけで営業活動になるところがメリットです。また、プロの方が相談に乗ってくれる、というのは心強いですね。
デメリット
- 個人サイトやSNSのアドレスは、個人ページに載せられない。
SNS影響力がある人だと、そちらへ誘導できないのは、ちょっと不便かなと思います。
有料会員の場合の費用
・初年度:有料作家入会金(1ページ 10,000円、2ページ 15,000円)
・翌年から:更新費1ページ8,000円、2ページ13,000円)
アスタリスク・ディスカバリー
イラスト制作会社のアスタリスクが運営するポートフォリオサイトです。
アスタリスクは20年以上の歴史があるイラストエージェンシーです。
イラスト審査は随時、フォームから行います。
メリット
- アスタリスクに蓄積された、会員だけが閲覧できるコンテンツにアクセスできる(蓄積された過去および直近のリクエストデータの傾向や解説、仕事を獲得するためのイラスト制作に関するヒント・アドバイス・FAQなど)
- おためし入会期間が設定されている(2週間)
- アスタリスクからお仕事依頼があることも
デメリット
- ポートフォリオなのだが、イラストに、♡(=いいねっぽいもの)を付けられるシステムがあるので、この多寡でイラストの評価がつけられてしまう部分もある
費用(年会費)
2万円(税込22,000円)
イラストレーターズ通信
ここは個人的には一番おすすめかなと思うのですが、人を選ぶのも事実です。
というのも、サイト運営者と会員の関係が、一番密だからです。
イラスト審査は随時、応募フォームから。
応募は20歳以上限定。なおこのほかにも、応募条件が厳しいので、条件をよく読みこんだほうがいいです。
メリット
- イラストレーターの相互扶助が充実
- 顧問弁護士がいる(オプション制・会費にプラスしてお金を出すことでサービスが受けられます)
- 翻訳(必要な人だけ、必要時に別料金を積む形式)
- 入会お試し期間あり
会員だけが閲覧可能な掲示板があり、そこで過去記事を検索することもできますし、新たに質問することもできます。
すごいのは、質問に対して回答率がほぼ100%だということです。
回答は、こちらの運営の代表の方が行ってくれることもあれば、会員が答えてくれることもあります。
会員はみんなイラストレーターなので、同業者のリアルな(時に生々しい)声が聞けて学ぶことが多いです。
特に、珍しい媒体やケースについての料金相場などについて悩んだとき、契約関連で迷ったときなど、経験者から的確なアドバイスを得られます。
フリーランスイラストレーターは孤独になりがちなので、こういうサービスを受けられるのは安心感があります。
過去に会員がうっかり炎上してしまったことがありますが、その際も、運営は適切にふるまい(弁護士がついているのが強かった)、事なきを得ました。助け合いという点では、この団体はおススメです。
人を選ぶ点
- この団体に所属する場合、二次創作は禁止(登録ペンネームでは)
- Adobe illustratorとPhotoshop所持が必須
- 運営者や運営方針と考え方が合わない場合、人によっては、在籍しているのが苦しいと感じることも
二次創作禁止と、Adobe illustratorとPhotoshop所持必須という項目が、人によっては、ハードルが高めかなと思います。
illustrator、Photoshopを安く使うのであれば、セール時に買うか、「アドビ スクールパートナープログラム」に入っているAdobe 公認スクールがおすすめです。
Adobe 公認スクールだと、学生料金でAdobe製品を使えます(授業は受けなくてもOK)↓
また、
この団体に入会して割り当てられるポートフォリオページは、WordPressで構築されているので、作品をUPする程度の最低限のWordPressスキルは、習得マストになってきます。
ただ、使っていれば、そのうち自然と慣れます。ブログサイトに投稿するのと大して変わらないです。それにそこまで複雑な機能は実装されていません。
それと、この団体のHPを見るとわかると思うのですが、「会員ならこういう点はマスト」的なイラストレーターとしての心構えを常に説いているので、やや学校っぽい雰囲気があります。
この雰囲気になじめるかどうかで、居心地の良さが決まります。
雰囲気が自分に合うのかどうかは、入ってみないとわからないかなと思います。
そこで、お試し期間が設けられているようです。入会受付メールを受信してから、1か月間の間なら、会費を払わずに入会キャンセルが可能です。
費用
初めての入会の方に限り、初年度年会費 12,100円。(11,000円+消費税)
以後、年会費 19,800円。(18,000円+消費税10%)
※顧問弁護士への相談は、オプション(年会費に 2,000 円をプラス)
※翻訳サービスは、1件ごとに別にお金かかります
どのイラストレーター団体が審査に通りやすいのか
どの団体も、審査に落ちた、という話は聞きます。
特に、実績が少ない場合、落ちるのは想定して申し込んだ方がいいのかなと思います。通ったらラッキーくらいの心持ちでいるといいと思います。その方が腹も立ちません。
団体に所属していなくても、立派なイラストレーターはたくさんいますし、団体に所属しているからと言って、仕事が来る人ばかりでもありません(こことても大事)。
落ちた人が悩むように、団体に所属したらしたで悩みがあります。
あの人は登録したとたん、仕事依頼がバンバン舞い込むのに自分は……なんて思ったりする場合もあります。審査に通ることが一概に「イラストレーターとしての幸せ」とも言えません。
それに審査に落ちても、あなたの絵に全く需要がないと言われたわけではありません。あまりへこまないようにしましょう。
・紙のポートフォリオを作って送る人のための記事はこちら
まとめ
実績のある人はどこかに登録しておくと、ひょっとすると仕事が来るかもしれません。ただし登録しても、仕事依頼は、来ない人はずっと来ないです。その点シビアです。
登録したらスグ仕事来た!
などという発信をする同業者に、心折れないように頑張りましょう。あれはうれしすぎて周りが見えていないだけです。人は人、自分は自分です。仕事が来なければ営業するだけです。
・(参考)お仕事関連記事
実績のない人で、かつ、webのポートフォリオがどこかで作ってみたい、という人は、上で紹介したイラストコミュニティに、落ちる覚悟で登録を申し込んでみるのも経験になります。
審査を受けるだけならタダですし、実績のない人にとって、審査制のポートフォリオサイトに合格するのは、多少のハクつけになります。
コメント
サメダさんこんにちは^_^
サメダさんの記事でポートフォリオを知った森山です。
イラストは見て楽しむばかりですが、このシステムは、素人ながら活用せなアカンやろ!って思います。
小説界にも欲しいシステムです(笑)
ふくくるカードを撫でながら、そんな事を真面目に考えています。
福ニャンのイラストめっちゃ良かった❤
つぐみさん、感想ありがとうございます。
小説書き用のポートフォリオサイトって、いろいろあるみたいなんですけど、
ちょっと使ったことがないので私もいまいちわからないです。
今度、文字書き勢用の便利な何かを探してみますね。