商業イラストというのは、商業発行物の挿絵、表紙、企業のマスコットキャラクター、ゲームのキャラデザなどのことを指すようです。
イラストを描く人の中には、売ってる本にイラストを掲載されたい、と思う人もいるかと思います。
そこで、この記事では商業雑誌・書籍にフォーカスして、どのようにアプローチすると仕事のお声がけをいただきやすくなるかについて、書いていきたいと思います。
著者は商業発行物で連載経験があるので多少お役に立てる部分もあるかなと思いますが、この記事はあくまで個人の主観です。ただで落ちている情報にそこまで期待をかけないほうがいいです。
絵が上手ならば仕事が来るのか
絵がうまければうまいほど、お仕事獲得に有利なのは間違いないと思います。デッサンやパースが正確なことが重要視されるイラスト分野もあります。
ただ、別に上手いイラストレーターだけに需要があるのかというとそうでもないです。この辺、超高学歴な人だけに仕事口があるのかというと、そうでもないのと同じです。
上手くても〆切が守れない人より、技術的にそこそこでも、期日までに納品してくれる人を評価する企業もあります。
また、すごく上手い売れっ子の場合、スケジュールや賃金面で折り合わなかったりするケースもあります。
意外とイラストのスキル以外のところもアピールポイントになる印象です。
ニーズを上手くつかめば、そこそこのイラスト技術でも、商業イラストのお仕事を得ることは十分可能です。商業イラストのニーズは多岐にわたるからです。
ニーズをつかむには、まず自分を知ることが大事です。
自分の実力がどのくらいか、何が描けるのか、得意な分野は何か、営業をかける前に、そのあたりを押さえていきます。
実績数を付けながら自分を知る
まず、(個人)依頼でいくつか仕事の実績を作ります。
ポートフォリオに実績を載せられる案件だとなおいいです。
最初は信用がないので、あまりいい条件のお仕事は取れないかもしれませんが、根気強く探していきましょう。
・(参考)実績作りにおすすめの副業サイトなどはこちら↓
この時点で、なかなか取れないジャンルの仕事と、取りやすいジャンルの仕事が分かれてくるんじゃないかと思います。そこで自分の得意ジャンルが分かってくるかと思います。
ある程度実績ができてきたら、出版社などへ営業をかけていきます。
ここで注意点ですが、
やみくもに営業をかけても効果は薄いです。
営業でスルーされると自分もへこみますし、的外れな営業をかけられた営業先にも迷惑が掛かります。
そこで、計画的に営業をかけていくことをおすすめします。
- まず、どのような系統の媒体で、お仕事をしたいかを考える
例えば児童書などでお仕事営業をかけてみたいと考える場合、児童書のコーナーに行って、どのような挿絵が好まれているのか、流行りの絵柄などについて、よくよく研究してください。
研究したところ、営業をかけたいジャンルが、自分の絵柄と会えば営業をかけていけばいいと思うのですが、「好きなジャンルだけど、自分の絵柄とはかけ離れている」といった、先方と自分のニーズの違いに気づくこともあるかと思います。
そういうとき、困りますよね。
じゃあ、自分に向いたジャンルって何?
と悩んでしまうかもしれません。
そんな時は、自分の絵柄をグーグルの画像検索などで検索してみると、自分の絵とテイストが似たような絵がでてくるので、そういう絵がどんな媒体・ジャンルで使われているかを把握しやすいです。
また、活躍しているイラストレーターを集めた、このような雑誌もいくつかあります。興味がある方は見てみては。
絵柄よせできる器用な人はともかく、その一つの絵柄しか描けない、という人は、自分が有利になるジャンルに、まずは営業を特化したほうがいいです。
初めは特定のジャンルのお仕事しかいただけなくても、実績を積んでいけば、徐々に自分のやりたかったジャンルへも進出できる可能性が高まります。
先方のニーズに合ったポートフォリオを作る
自分の営業先のジャンルが決まったら、ポートフォリオを作りましょう。
・(参考)ポートフォリオについてはこの記事に詳しく書きました↓
上の記事でも書いていますが、ポートフォリオはサイトと紙と両方あったほうがいいです。ただ、紙は修正コストが高いので、優先して充実させるのはwebかと思います。
大丈夫、サイトはもう作ってあるよ、という人は次の点に気を付けてください。
- これから営業をかけるジャンルの絵をたくさん載せる
- そのジャンルへ悪影響を及ぼすようなイラストはサイトを分ける
たとえば、児童向けに送るのに、セクシー系のイラストばかり載せているのでは、営業効果が薄いのではないでしょうか。
わざわざポートフォリオを読んでくれる時点で、その人はすでにあなたの作品に興味があります。あとはイラスト(を描くサービス)を購入する意思決定をしてもらえるよう、内容で後押ししていきます。
まずポートフォリオに載せるイラストですが、一番よくできたイラストではなく、一番先方が求めていそうなイラストを載せたほうがいいです。
営業用のポートフォリオは商品購入のための検討に使う道具なので、相手が求めている方向性の絵と情報を、ストレスフリーなアクセスでお見せする、そういう仕様にした方が、相手も使いやすいのではないでしょうか。
ですので、ポートフォリオには、
- 出費に値するイラストであると相手に思わせるような安心材料
- あなたのイラストでなくてはダメだ、と思わせる情報
このふたつを盛り込んでアピールしましょう。
とはいえ、ポートフォリオに正解などないです。
どのような体裁で作るか、どのようなアピール文を書くかはあなたの自由です。仕事が取れたポートフォリオがいいポートフォリオです。たぶん。
本命の企業には何度か営業
一度の営業で憧れの企業様とお仕事ができる、というのは、本当に運のいいケースです。
というのも、お仕事をいただけるかどうかというのは、運も大きな要素だからです。
先方が運よく新連載を始める、新しい何かを刊行する、そういうタイミングを偶然つかんだ上で、あなたのイラストが先方のニーズにマッチしないと、お仕事のご依頼は成立しません。
ですので、お仕事をさせていただきたいなと思う企業様があれば、1度送ってダメでもあきらめず、期間を置いて何度かポートフォリオを送付してみましょう(なお、送付可のところの場合の話です)
送付NGのところに送ってはいけません、ご迷惑になります
どのくらいのスパンで営業をかけるのがいいか迷うところですが、著者はプロフィール部分や掲載イラストの大半が変わったら送ります。1年に1回くらいでしょうか。なおこれがベストかは不明です。
3回くらい送ってダメだった企業はあきらめる人が多いみたいですが、5回以上送ってもなおあきらめない猛者もいるようです。この辺は好き好きかと思います。
営業をする際には、その企業の発行物などを読みなおしたりして、そもそも営業をかける以前に、読者でもあることをアピールするという手もあります。
この事前の商品リサーチが、効果がある企業さんもある感触です。感想を喜んでもらえているな、という雰囲気が得られるときもあります。
ところで、メール営業はリアクション率が低いようです。
とある文芸誌のスタッフさんに教えていただいたところ、そこではメールのイラスト営業はほぼ見ないことにしているんだそうです。もちろんそういう出版社ばかりではないとは思いますが、そういうシビアな状況のケースもあるようです。
メール営業はコストがかかりにくいという点がメリットではあるのですが、ポートフォリオを送付しても返事はあまり期待しないで営業していった方がいいかもしれません。
営業の本は星の数ほど出ているので、合いそうなものを読んで、参考にしてみるといいのではないかと思います。
・一例↓
・イラストレーターの方が自分の経験漫画を描いている営業本もあります。
SNSを充実
賛否があると思いますが、昨今は自分のSNSパワーがものをいうご時世です。
元編集という人の書いたブログにあったのですが、持ち込んだ企画がたとえ面白くても、SNS影響力が弱いと採用を見送る、なんていうケースもあるようです。
クリエイターは、SNS発信力までが実力、と見られがちになっているのは傾向としてあるのかもしれません。
SNS経由でお仕事が来やすくなるのはXだとフォロワーが4桁くらいになってから、という話も聞くので、こちらはイラスト制作の片手間に、地道に運営していくのがおすすめです。
・運営のコツ記事↓
個人的な体感では、イラストと親和性が高いのは、ブログ系より短文系のサイトです。同じフォロワー数くらいだと、イラスト投稿した場合、短文系のほうが、いいねがつきやすい印象です。
ブログ系は、イラストをペラっと1枚だけ貼るより、生活や人生の悩みみたいなものをつらつらと書く方が読まれる感じがします。短文系より読み応えのあるものが求められているというか。
コミックエッセイなんかを連載するのもいいかもしれません。
なお、素材配布サイトなどで素材を作って売る→仕事のオファーが来る、という場合もあるようです。素材配布サイトに関しては、クラウドソーシングサイトでも、まれに募集をかけているのを見たことがあります。
ただ素材配布は基本的に著作権譲渡ですし、AIの台頭で今後どうなっていくのか読みにくい部分があります。個人的にはあまりおすすめできないです。
SNSは発信も大切ですが、ちゃんと連絡が取れるHPなりコンタクトフォームなりを作っておくことが大事です。
興味を持ってもらった後、そのビジネスチャンスを逃さないように、マネタイズへの動線をきちんと整備しておきましょう。
まとめ
- 営業前に自分を知る
- ポートフォリオは何回か送ってみる
- SNSを充実
この3点がわりと大事。
- なお、実際お仕事いただいた人におすすめなのはこちらの記事↓
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