え、イラストなんか描けないし、と思うかもしれません。
あなたの想像する、売れる絵のレベルって、どのくらいですか?
透明感のある超美麗の背景つき激うまイラストを想像しているのであれば、そうじゃない、と言っておきます。
雑誌なんかだと、ゆるめのイラストが求められていたり、ビジネス系ならシンプル系の線画が人気があったり。ニーズは多岐にわたります。
ストックイラストで稼ぐ、という手もありますが、AIが激烈な勢いで台頭してきている現在、将来のことを考えると少し不安があります。
そこで、企業、個人と契約を結んで仕事をする形態のイラストレーターとして活動することについて考えてみたいと思います。
でも、絵ってどうやって営業かけたらいいの? という人もいると思います。その疑問について以下、複数誌で掲載経験のあるイラストレーターである著者が答えていきます。
なお、イラスレーションの仕事だけで食べていける人はごく稀です。この記事は、あくまで副業としてのイラストレーターについて書いています。

【必須】営業を始める前に行うこと
それは、ポートフォリオを作ることです。
これは、趣味ではなく、お仕事としてイラストを売り出していくなら、準備必須です。絶対に用意してください。
ポートフォリオというのは、自分の制作した作品を集めた、作品集です。
そもそも、掲載できる作品のストックがない、という人は、まずは、15~20作品くらい作っておきましょう。
この時描くイラストは、自分が仕事をしてみたい分野で、実際使われることを想定したイラストです。
これはあくまで営業用なので、趣味に走った作品よりは、業界に寄せたほうが、先方もあなたとの仕事を想像しやすいからです。
作品のストックは多ければ多いほどいいです。営業先に合わせて、最適のイラストを選びやすくなるからです。
そうは言っても、ポートフォリオって、どうやって作ったらいいのかわからない、と思うかもしれません。
ポートフォリオ作りを極めるだけで人生が終わるくらい奥深いのですが、一番手っ取り早い方法は、現役のイラストレーターのポートフォリオを参考にすることです。
仕事の取れているイラストレーターのポートフォリオは、学ぶところが多いです。
X(旧ツイッター)などで、ポートフォリオサイトへ誘導しているイラストレーターも結構いるので、それを見せてもらって参考にするのがよいかと思います。
・なお、イラストアカウントでフォロワーを増やすコツ記事はこちら↓
一口にポートフォリオと言っても、企業によって欲しい形態が違うので、紙とwebサイトと、どちらも用意した方がいいです。
でも紙は場所を取りますし、融通がきかないので、まずはwebサイトを作るのがおすすめです。最近はWordPressで作るのが主流かなと思います。
WordPressに関しては、こんな感じで初心者向けにかみ砕いた本がたくさん出ているので、できそうなら取り組んでみるといいと思います。
著者が買ったのはこの本です。
ですが、は? 作る? Webに詳しくないからぜんぜん無理……
という人は、場所を提供してくれて、作品を上げるだけのところまで用意してくれる、イラストレーター向け専用ポートフォリオサービスを提供してくれているサイトが複数あるので、それを検索してみてはいかがでしょうか。
有料のところも、無料のところもあります。
無料のところは気兼ねなくできるのでいいかなと思うのですが、長期的な運営を考えると、有料サイトのほうが、サービスが手厚いです。
・有料ポートフォリオサイト紹介記事はこちら↓
ポートフォリオサイトが一つあると、作品整理も楽ですし、営業先にプレゼンしやすいです。
ポートフォリオには、これが自分の傑作、と思えるものだけを上げましょう。自分でしょぼいなと思う絵は、他人から見てもちょっとアレだな思う場合が多いです。
それに、自分でしょぼいと思っている作品で営業していると、営業に自信が持ちにくいことが多いです。
営業は自分の心が折れたらそこで終わりなので、極力、心折れにくい布陣で臨んだ方が長く続けられます。
ポートフォリオ用画像を作るには、デザインソフトのAdobe製品を使うと完成度が高まります。Adobeはサブスクなのですが、けっこう高いので、セールの時か、「アドビ スクールパートナープログラム」に入っているAdobe 公認スクールを使うと安く済みます。

実績を積む
ポートフォリオができたら、次は実績を積んでいきましょう。
なぜ実績を積むのかというと、あなたが安心して絵の依頼を発注できる絵描きなのかを、証明する方法として、最もわかりやすいからです。
まずは個人依頼を受けていく
営業の成功しやすさは、絵の上手さにもよるのですが、
企業<個人
です。
そこでまず、個人依頼の受注実績を積み重ねてから、企業案件にチャレンジするとスムーズかと思います。実績がある程度ないと、企業案件の獲得は厳しい印象です。
じゃあ、どうやって実績を積むのか? というと、
・クラウドワークス

・ランサーズ

・スキマ

・ココナラ
などのクラウドソーシングで依頼をこなすことです。
基本的に、クラウドソーシングの案件は、実績がない時点だと激安なので、初めの何件かは、実績を積むための手段と思い、採算は割り切ったほうがいいかもしれません。
でも安売りなんて我慢できない、という人もいると思うので、この辺は個々人の判断だと思います。
実績が積め、人気が出てくれば、単価を高くしても依頼は来やすいです。
クラウドワークスとランサーズは、スキマやココナラよりビジネス寄りなので、クライアントが中小企業、という場合も比較的あります。
企業が出している案件を取れると、実績に箔がつけやすいです。
なお、クラウドワークスとランサーズなら、仕事が取りやすいのはクラウドワークスの印象があります(あくまで主観です)。
ただし、クラウドワークスとランサーズは、納品物の著作権を譲渡するケースが多いので注意です。
スキマ、ココナラは、個人の依頼が多いです。著作権を譲渡するかどうかは作者しだいのようです。
ですので、クラウドワークスやランサーズよりは、描き手に優しいのかな、という印象です。
スキル販売サイト初心者は、こういった初心者向けの副業ノウハウ本を読んで、雰囲気を掴んでみるのもいかも。
率直に言って、こういう本をいくら読んだからって、劇的に売れるわけではありません。
でも、情報登録、注意事項など、その副業サイトの基本的な出だし時点で行き詰まらないという点では、役に立たないでもないです。
スキル販売サイトで、サービスの売り込み文句を書くときは、以下の本が個人的にはわりと参考になりました。
・『ポチらせる文章術』
どうやったら、相手のニーズにマッチできる文章が作れるのか、具体例とともに書いてあり、試しやすい印象です。
いきなりお客さん相手に対応するの苦手、という人は、画像販売をする、という手もあります。
・例えばnoteなどで↓
クライアント選びのコツ
クライアント選びのコツは、仕事の実績を公開してもいい(=ポートフォリオに載せてもいい)、と言ってくれる相手をなるべく選ぶことです。
非公開案件といって、実績をポートフォリオに載せないでくれ、という依頼をされる場合も結構多いので、事前にこのあたりは話し合ってクリアにしておくといいと思います。
どうしてもクラウドソーシングで依頼を取れない人は、友達や知人にニーズを聞いて、依頼してもらうのも手です。ただし、あまり強引に行うと、お金が絡むことでもあり、人間関係が崩れやすいので注意。
コンテストに勝ってハクをつける
コンテストにたくさん勝てば、仕事を取りやすくなるのか。気になりませんか?
200点ほどコンテスト入賞実績がある著者の経験では、
「あまりそうでもない」。
ですが、コンテストに勝つと、コンテスト主催者側から、仕事のオファーが来ることがあります。ごくまれにですが。
それに、コンテストにたくさん勝っていると、プロフィール欄が豪華になるので、自分のイラストを見てくれる人も増えます。それが結果的に、仕事につながることもあります。
また、コンテストに勝つと賞金が入る場合があるので、お小遣い稼ぎにもなります。
『公募ガイド』のこの号(2023年8月号)↓は、選考サイドの裏話も聞けるので、わりとお役立ち。イラストコンテストに特化というわけではないですが……
公募コツ記事はこちら↓
基本的に、イラストの著作権は渡さないほうがいい
著作権を譲渡するということは、あなたの描いた絵が、自分のものでなくなるということです。
著作権を買い取った人が、好きなようにあなたの絵に要素を描き加えたり、AIに学習させたり、買い取った人の名前で販売したりでき、
それについて、原作者であるあなたは、一切文句を言うことができません。
すでにあなたのものでないからです。
また、自分のポートフォリオに著作権を売った絵を載せたい場合、著作権を買い取った企業や個人に、使用OKかどうかお伺いを立てる必要があります。
ダメと言われたら載せられません。
また、すでに連絡が取れなくなったりしている場合、非常に厄介です。
どうしても著作権を売らないといけない場合は、安く売ると後悔します。
著者もこのあたりを甘く見ていて、自分の思い入れのあるイラストの著作権を安く売ってしまい、後悔したことがあります。
ある程度実績が積めたら、企業に営業してみるのもよい
ポートフォリオが、「自主制作」作品ではなくて、依頼の仕事で埋められるようになってきたら、企業に営業してみることを考えてもいいかもしれません。
企業との取引は信頼が命なので、一つの企業案件が取れると次も取れやすくなる、という連鎖につながりやすいです。
注意点としては、実績の少ない状態で、いきなり名の通った大手出版社などに営業をかけても、まず相手にされないので、営業をかける企業はよく考えましょう。
一方、個人依頼をメインに受注するのが向いているな、という人は、そのまま個人依頼を増やす方向で励んでいくのがいいと思います。インボイスの関係で、個人依頼メインのほうが税金を天引きされにくくなっているので。
なお、
ポートフォリオは1回作って終わりではなくて、新しい仕事実績ができたら、差し替えるなどして、常に最高の見栄えを保つ努力が必要です。
・営業についてはこちらの記事もあります↓
まとめ
・イラストのお仕事をしようと思ったら、まずポートフォリオを作ろう
・企業は実績重視の傾向。まずは個人依頼で実績を重ねよう
・ポートフォリオは常に更新
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