小説賞って、応募したら99%落ちるわけですけど、どうして落ちたか知りたいですよね。
どう手直ししたらよくなるのか?
何がダメだったのか?
自分で考えても、なかなか答えは出ないです。
そんな時、役に立つのが、評価シートや講評文です。出版社は基本的に選考に落ちた理由を教えてくれませんが、レーベルによっては、応募作品へ感想やアドバイスをしてくれることがあります。
規定を守った応募作品に(←ここ大事です)、評価シートや講評文をくれる小説賞を集めてみました。
特徴的だと思った賞を上げていますが、これがすべてではないので、自分でも探してみるといいかと思います。
情報は常に新しくなるので、応募要項や詳細は公式サイトで確認することをお勧めします。
なお、評価シートをくれるところは、現在、ライトノベル・ライト文芸のレーベルが圧倒的に多く、一般文芸系では皆無です(講評文をくれるところはあります)。
一般文芸でアドバイスや感想が欲しい人は、小説添削サービスを使ったほうがよいかと思います。
・参考記事はこちら↓
1次落ちでもらえる評価シートには、過度な期待は禁物
レーベルによっては、1次選考落ちでも評価シートをくれるところがあります。うれしいですよね。
ただし、これはあくまで顧客サービスで送ってくれていると思ったほうがいいです。
1次落ちでもらえる評価シートは、率直に言って、同じ賞でも、年によって、書いてくれた人によって、当たりハズレが激しいです。ある意味、運ゲーとも言えます。
選考が進むにつれて、選考者の真剣度も深まってきますので、高次の選考までたどり着いた作品に送られる評価シートのほうが、内容が濃いのは間違いがないです。
高次通過の評価シートは、複数人の編集者の評価が載っている場合が多く、得るものが多いです。
1次落選でも評価シート・講評をもらえる小説賞
男性向けライトノベル
MF文庫Jライトノベル新人賞
ここは主に10代の男の子を想定読者とした、ラノベのレーベルです。
年に4回募集があるのが特徴です。
1次落選でも評価シートをもらえます。ただし規定違反の作品には送らないそうです。
2次選考通過者以上には、もうちょっとボリューム感のある評価シートがもらえるようです。公式サイトからサンプルがダウンロードできるので、気になる人は見てみては。
評価基準は
- キャラクター
- ストーリー
- 世界観・アイデア
- 構成力
- 文章力
の5カテゴリで、総合評価が別にあります。
若い男の子を想定読者としたラノベレーベルは、たいていのところが評価シートをくれるシステムなので、同じ作品をいろんなレーベルに送って、各社の評価シートの違いを見たりすると楽しいです
ほかに1次落ちでもシートをくれる男の子向けラノベレーベルとしては、
オーバーラップ文庫(マイページにて通知)、GA文庫(マイページにて通知)などがあります。
星海社FICTIONS新人賞
やや男性向け寄りライト文芸の賞。ライトノベルよりはターゲット年齢が高めの印象。
ここは評価シートをくれるわけではなくて、1年に4回ある編集者座談会のweb記事に、応募作の1行コメントを掲載してくれます。
見込みのある作品は、この座談会の中で話題になり、もっと突っ込んだ感想をもらえるチャンスがあります。
座談会の意見はけっこう忌憚がないので、ハートが強い方向けかと思います。なお、応募作すべてが1行コメントをもらえるのかは不明です。
星海社FICTIONS新人賞はなかなか賞を出さず、デビューした作家も非常に少ないので、書籍デビューを期待して作品を送るというより、コメントがもらえるから送る、という人も多そうです。
星海社FICTIONS新人賞は、誰が賞を取るかというより、ほかの小説賞で箸にも棒にも引っかからなかった(おもしろそうな)問題作が、編集者座談会で物議をかもすのを見るのが、楽しさなのかなと、個人的には思います。
BL
Charade 新人小説賞
各月末〆切なので、いつ作品を送ってもいいところがうれしいレーベルです。
・シャレード文庫HPによると、投稿月から3ヶ月後、応募者全員に寸評を送付(例:1月到着分→4月末までに寸評送付)。
注意点:この賞は、この賞に応募するのが初めての作品のみが受付です。この賞で寸評をもらった作品を、またこの賞に送ることは規定違反です
・二見書房公式サイト
BLではこのほか、
角川ルビー小説大賞と小説ショコラ新人賞が、応募者全員の作品をA~Eに評価分けしたものをweb上で発表してくれます(感想をくれるわけではないようです)。
なお、小説ショコラ新人賞のほうは、規定外の作品は、「規定外」作品として、ペンネームとタイトルをさらされる、スパルタぎみの様式となっております。応募規定をよく読んだほうがいいですね。
1次通過以上で評価シート・選評をくれる小説賞
男性向けライトノベル
電撃大賞
やや男性向け寄りの、大手ラノベレーベルの賞です。
1次通過以上で評価シートがもらえます。
3次以上通過で複数編集者の講評が入ったシートがもらえます。
他に一次通過以上でシートをくれる男の子向けラノベレーベルとしては、
- 小学館ライトノベル大賞
- スニーカー大賞(希望者のみ)
- 集英社ライトノベル新人賞(希望者のみ)
- ファンタジア大賞(ログインページから閲覧できる形式)
などがあります。
一般文芸
小説現代長編新人賞
ノンジャンルのエンタメ系一般文芸賞です。
小説現代長編新人賞は、ノンジャンルの小説賞なので、比較的、何を書いても応募しやすいかと思います。
1次通過以上で、短い講評文をくれます。
この講評文は、文芸誌『小説現代』に掲載されるほか、WEB上で誰でも見られる状態になります。
都道府県名、ペンネーム、タイトルとともに公表されます。変なペンネームで応募したりすると、半永久的に残りますので注意。
・素人による考察記事はこちら↓
『このミステリーがすごい!』大賞
ミステリーの賞です。ヒット作を多く輩出し、ドラマ化された作品もあります。
この賞で一次通過すると、長めの選評がもらえます。
この講評文も、WEB上で誰でも見られる状態になっています。
なお、一次通過できなかった作品からも数作ピックアップされ、こちらにも選評が付きます。
賞金も高く、落選作からの拾い上げ書籍化例も複数あるので、ミステリー書きにおすすめの賞です。
ばらのまち福山ミステリー文学新人賞
地方自治体が開催している、本格ミステリーの賞です。
文字数制限の上限が高めで、ボリュームのある作品もOK。
応募者数が少ないので、本格ミステリーが書ける人は、穴場。
一次通過以上で、web上で講評がもらえます。
あたらよ文学賞
1年に1回開催で、2024年の募集が2回目なのですが、応募者に手厚いと、好意的な声をよく聞きます。
通過者へのコメントは、note上で発表されます。1次通過作はもちろん、1次落選の作品の一部にもコメントを書いてくださるところが親切です。
この賞は個人出版社が開催しているものですので、賞が今後も継続されるためには、この出版社が発行するの出版物を買ってあげるなどして、なるべく応援してあげるのがおすすめです。別にこのブログのリンクから買って欲しいとは言わないんですけど、賞開催が続行されて欲しい人は、応援も大事。
Web
エブリスタ小説大賞
優秀賞以上の作品に、エブリスタ編集部からメールで選評送付
「エブリスタ小説大賞」という賞があるわけではありません。
小説投稿サイト「エブリスタ」が、毎年、出版社・メディアとコラボして開催する複数の賞の総称が、「エブリスタ小説大賞」です。
どこの出版社がどんな賞を開催するのかは、年によって違いますので、詳しくは「エブリスタ」公式サイトで確かめてください。
エブリスタ小説大賞は、だいたい、中間発表で最終候補と優秀賞が選出される流れです。優秀賞というのは、最終候補には落ちたけど、よかった作品、みたいなニュアンスかなと思います。
二次通過・三次通過・最終選考残留で選評がつく小説賞
一般文芸
松本清張賞
「オール讀物」令和6年3・4月合併号誌上にて中間発表、6月号誌上にて決定発表、選考経過、選評を掲載します。
※二次予選通過者には別途選考コメントが送られます。
公式HP第31回要項より
どのような体裁のものか確認できていないのですが、2次通過で選考コメントがもらえる模様。情報をお持ちの方はお知らせいただけると幸いです。
松本清張賞は、インターネットで発表済みの作品は応募NGです。そのせいか、応募数は一般文芸の中では少なめなので、穴場といえば穴場かも?
女性向けライトノベル(ライト文芸)
ノベル大賞
こちらは一般向けライト文芸(やや大人女子向け寄り)の賞です。歴史が非常に長いです。
2025年度募集回(2024春募集開始)から、3次通過者以上に評価シート(というかメール)を送るシステムに変更になりました。ご注意ください。
参考:ノベル大賞直近回は1000以上の応募数があるようですが、2023年回の3次通過数は77でした。
なお、
※また、2025年のノベル大賞より、「応募受付はwebのみ」に変更になりました。応募は3作までです。また原稿の組み方も2025年回より変更になりましたので公式で必ずチェックしてください
評価を希望する人は、エントリー時に、「評価シートを希望」の欄にチェックを入れておきましょう。チェックを入れないと評価シート(というかコメント)のメールをもらえないので注意。
データの破損などでご応募いただいた原稿が判読できないなどの場合は、その旨メールにてご連絡さしあげます。指定する期日までにご返信ください。
オレンジ公式HPより
データミスをしても即落選にならないのはうれしいですね。
ライト文芸
富士見L文庫
やや女子向けのライト文芸レーベルです。
・第7回より二次選考通過作品(最終選考対象作品)には、個別の選評を送付。
(オレンジorコバルト)短編小説新人賞
やや女子向けノンジャンルの賞です。
オレ短と略すか、コバ短と略すかで年齢がばれそうな感じになってきました。
最終選考残留以上で、web上で長めの講評をもらえます。詳しくはこちら。
※最終選考残留作品に選評を付けている小説賞は、わりとよくあります。
受賞作の発表後にwebや文芸誌上で、講評として出ることが多いです。その場合、誰でも見られるので、創作の参考にしてみるといいのではないでしょうか。
なお、webの誘惑に負けて創作さぼっちゃう人は、執筆しかできないツール・ポメラがおすすめ。1ファイルで長編も書けるようになったので、便利さが増した印象です↓
まとめ
評価シートをもらうと、思ってもいなかった辛辣なコメントに、傷つくこともあるかと思います。
そういう時は、ほかの賞にも送ってみましょう。
同じ作品を送っても、各社で評価が違ったりするので、人のアドバイスは、いいところだけ取り入れて、あとは聞き流しておけばいいんだな、と思えるようになり、メンタルが強くなれます。
コメント
評価シート、講評もらえる文学賞のまとめ、ありがとうございます!
評価シートをもらうと思ってもいなかった辛口評価に傷つく…ありました~💦
こちらの記事では、各賞の特徴などもわかり、そんな過去にもめげず、応募したいなと思えました!
ノベル大賞の講評、紙ベースでもらえるのですね!知りませんでした。
和來さん感想ありがとうございます。
シートや講評(特に講評)は、探してみるとまだいろいろな賞で行われているので、
ご興味ありましたら試されてみては。
ノベルが紙ベースでくれる場合は、こちらも紙原稿を送って、
返信封筒を同封した場合なのかな? と思います。
web応募だとメールで来ます。