短編は書けるけど、長編になると途端に取っ散らかってしまい、最後まで書き上げられない。
そんな悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
完結させられないまま連載を途切れさせてしまうと、web連載の場合、読者離れを招くこともあります。
一方、コンテストでも、完結した作品でないと、応募できないケースが多めです。
じゃあどうやったら長編をちゃんと書き上げることができるのか?
について、具体的な例を考えてみました。この記事を書いている人は、長編完結率100%です。
以下、詳しく書いていきます。
長編とは?
人によって、また会社によって、定義が違うのですが、7,8万字くらいから長編と定義している出版社もあるみたいです。
普通は1週間やそこらで書けない量ですよね。
それに文字数だけ長編に達しても、完結とは言えません。ストーリーを、ラストに向けてまとめきる能力も必要になります。
そのため、そもそも長編作品を完成させることは、難易度が高いです。
いきなり長編を書いて完結まで持っていける人は、それだけで才能があるかと思います。
完結させられない場合、いろいろな理由があるかと思うので、パターンごとに見ていきま
す。
パターン1:そもそも長編を完結させられる気がしない人
成功例を参考にして、それを再現する
あまり小説を書いたことがない人だと、そもそも、どうやったら長編が作れるのか?
というところからつまづいてしまい、長編作品を完結させられるビジョンが見えてこない場合もあるかと思います。
その場合は、実際に長編を何本も完結させている人のブログに行ってみてください。プロでもアマでもいいです。
小説投稿サイトには、日記やエッセイのジャンルがある場合があるので、そこから探すとスムーズです。
なるべく、可処分時間や職業が、自分と似ている人のものがいいです。
その人の、1日の使い方や、創作に対する考え方が参考になります。
- どうやって長編を書く創作時間を捻出しているのか
- その人が長編を書く工程はどんなものか
- どういう考えでその工程を必要としているのか
などを学んでみましょう。
徐々に、長編を完成させるために必要なステップが見えてくるかと思います。
誰しも1日は24時間ですが、何作も長編を書きあげられる人は、その使い方が有効的な場合が多いです。
1日の目標執筆量を決めている場合もあれば、追い込まれて一気に書くスタイルの人もいてそこは様々です。それだけに、自分でも再現できそうな手法を取っている人が、探せば見つかるかと思います。
長編書きの人のブログを見て回ってみると、長編を完結させるヒントが得やすいです。
小さいゴールを複数設定する
今回の大きなゴールは、長編を完結させることですが、それを目標に立てるだけではゴールが遠すぎて現実的ではありません。
まずざっくりと完成期限を設定しておきましょう。
コンテストやイベント等、その作品を絶対に出す必要がある日を作っておくと、緊張感が保ちやすくなり、はかどりやすいです。
ただしその完成予定日がタイトすぎると、初めから不可能に思えて心が折れがちです。
長編を書いたことがない、書き上げたことがない、という人は、だいたい完成期限を、半年から1年くらい先に設定しておくのが無難です。
完成期日を決めたら、次は小目標を設定していきます。
長編を完成させるには、いろいろな工程があります。
構想を考えたり、資料集めをしたり、既存作と被っていないかチェックしたり……
人によって必要な工程が違うと思いますが、自分に必要な工程をまずリストアップみてください。
その工程一つ一つが、小さなゴールです。
これを順番に達成していくことで長編を仕上げていきます。
どんな工程を組むのもあなたの自由ですが、
絶対入れて欲しいのは、推敲の工程です。
なぜそんなに推敲にこだわるのかというと、推敲されていない小説を、いきなりコンテストに出したり投稿サイトにUPしたりすると、後悔することがとても多いからです。
長編を完成させるのに必要な小ゴールを「見える化」させたら、次に、それをいつまでに行うのか、〆切と、自分の創作スピードから逆算して決めていきます。
なるべく推敲の期間を多く取れるようにスケジューリングできるとベターです。
小ゴールを達成したら、そのたびにちゃんと自分をほめてあげてください。
何かごほうびを買ってあげたり、いたわってあげたりしてください。達成した自分を認めることで、自己肯定感が増します。
旅行に行ったりするのもいいかもしれません↓
アメリカでロングセラーの創作者向け本『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』でも、自己肯定感を高めることは、創作活動において重要だと説明されています。
自己肯定感が低いと、創作において制限をかけてしまいがちなのだそうです。
メンタルを保つことは、実は、長丁場になる長編執筆においてかなり優先させるべき事柄です。
自己肯定感を高くして、メンタルがぶれにくくする練習は、日ごろからやっておいて損はないです↓
・『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』関連記事はこちら↓
プロットを練るのも、キャラクターを作るのも、趣味の場合はどれだけ時間をかけてもいいかと思うのですが、ある程度のところで切り上げていかないと、設定期日までに長編を完結に持っていくことはできません。
設定などについては、60%くらいのものでいいので、とりあえず作ります。
執筆の段階で描写に詰まったら、随時考えたり直していけばいいかと思います。
初めから完璧を求めすぎると、筆が進みません。
初稿が、誰にも見せられないようなひどい仕上がりだとしても、それはままあることでして、そこから推敲していけばいいだけのことです。
はじめから高いクオリティで仕上げようとせず、とりあえず小ゴールを1つずつスケジュール通りに達成していくことを目指してみてください。その先に長編完成という大ゴールが見えてきます。
パターン2:規定文字数をクリアできない人
自分を把握する
文字数を積み上げ、長編を完成させるには、意志力とスケジュール管理が重要です。
まず、
- ひと月のうち、創作に充てられる時間がどのくらいか
- ひと日何字くらい書けるのか
これらを、過去の創作物から振り返って、把握してみましょう。
1日に書ける最大文字数を基準にスケジュールを組むと、絶対達成できないスケジュールが出来上がってしまうので避けるべきです。
さすがにそんなことしないわと思うかもしれないのですが、切羽詰まってくると、「1日で書ける文字数のmaxを、数日間続ければなんとかなる」というような精神論になってきがちです。
実際、根性で何とかしてしまう人もいるかと思うのですが、何が問題かというと、そうやって突貫で書き上げて推敲してない作品は、粗が多い場合がままあることです。
十分な推敲の時間が取れないと、コンテストに送る場合でも、web連載する場合にも、期待した結果が得られにくいです。
余裕のあるスケジュールを組むために、ひと月スパンの創作量を把握し、予備日も確保しておきます。
そこから逆算して執筆スケジュールを組んでみてください。
予備日は多めにとっておいた方がいいです。人は怠けますし、小説はたいてい計画通りには執筆できないからです。
目標を宣言しておく
SNSなどで、今日は何文字書く、ですとか、いつまでに作品を仕上げる、と宣言しておきましょう。
- 人に言っておくことで、自分の行動に責任感が生まれ、目標を達成しやすくなる
- 執筆仲間の励みにもなります
たいていの人は、自分がうそつきだと思われたくないので、宣言したことを守ろうという心理が働きやすいです。
パターン3:ストーリーがまとまらなくて完結させられない人
話を停滞させている問題点を洗い出す
文字数は積めるけど、どうやったら完結へ話を持っていけるのかわからない。
という場合には、完結できなくさせている問題点を洗い出してみるのがおすすめです。
- 話の中で、齟齬が生まれていてそれを解決できていない
- 資料が足りてなくて描写できない
- プロットが甘くて矛盾が生まれている
- キャラクター造形が不十分で、主人公の行動原理が見えてこない
などなど、行き詰っているからには、その作品には何かしらの問題があると思います。
完結の障害になっている要素を、とりあえず書き出してみましょう。
対策が立てやすいです。
必要ならば、プロットやキャラクター設定の段階まで戻ってみましょう。
基礎の部分がしっかりしていないと、作品はどうしても揺らぎやすいです。
時間がなくて焦っていても、いったん執筆は中止して、キャラクターやストーリーを固め直してから執筆再開した方が、スムーズに完結につなげられる場合もあります。
誰かの意見を聞いてみるのも、刺激になってとても良いかと思います。
個人的には有料もおすすめです。友達に無料でやってもらうと何かと忖度が必要ですが、そういう必要がない点がいいかなと思います↓
話をスケールダウンさせる
話を壮大にしすぎて、収拾がつかなくなっている場合があります。
その場合は、いったん、話をスケールダウンさせてみましょう。
具体的には、
- 登場人物を減らしてみる
- 伏線を減らしてみる
- 設定をもっと単純化する
この3つがおすすめです。
当たり前なのですが、要素が少なくなればなるほど、話をまとめやすくなります。
それに、思い切って登場人物を減らすことで、登場人物一人あたりに使える描写量が増すので、人物の厚みが増すというメリットがあります。
伏線を減らすと面白さがダウンするのではないか?
と思う人は、ひとまずどういうオチにせよ話を完結させてから、推敲によって加筆していくのはいかがでしょうか。
一度完結させておくことで、物語の全体像が把握しやすくなるメリットがあります。全体像が把握できると、その作品に足りないものがおのずと見えてきやすいです。
はじめから、複雑に張り巡らした伏線を、全て綺麗に回収しようと思うから、完結させられないのかもしれません。
たしかに、小説公募の場合は、伏線はなるべく回収しておくに越したことはないです。その場合は、誰かに読んでもらってアドバイスをもらい、物語のアラを効率的に見つけ出すのがおすすめです。
また、人と話すことで、行き詰りを突破できることもあります。
ただ、web連載のための作品の場合だと、伏線が回収されていなくても、完結させて問題ないかと思います。
というのも、web投稿の場合は、完結時にはまとめられなかった伏線を使って、後日スピンオフや続編を作ってしまえばいいからです。
スピンオフや続編なら、ついた読者も引き継ぎやすいですし、お得かと思います。
ところで、設定を作るのが好きな人もいるかと思いますが、作った設定を全部書くと冗長になりがちです。
しかも、ルールや要素を出せば出すほど、ストーリー展開の整合性を取るのが難しくなります。
どうしても話が取っ散らかってしまって困っている、という場合には、設定の単純化をおすすめします。
その作品の世界観にとって、一番大事な設定は何かを考えてみてください。それを主軸に据えて、あとは優先順位を付けて、思い切ってスリム化してみてはいかがでしょうか。
キャラ文芸が市場で存在感を見せている通り、世界観設定よりキャラクターの活躍を見たがる読者も多いです。展開に不要な設定まで書きすぎていないかどうか、気を付けてみましょう。
パターンに当てはめる
どういう状態が、完結したことになるのかが、わからなくて困っている人もいるかもしれません。
じつは、小説のストーリーラインやオチについては、パターンがいくつかあります。
世に知られているようなヒット作品も、それに当てはめることができる場合が多いです。
パターンとして残っているというのは、その展開が、古くから多くの人に支持されてきたからではないでしょうか。
完結させられなくて困っているのであれば、その人気パターンに乗っかってみるのも一考です。
パターン例について知りたい方は、wikiなどにも載っているので参考にしてみてください。
まとめ
完結させられない人は、その理由を書き出してみることから始めてみよう。
問題を具体化すれば、対策を立てやすい。
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