最近、小説・エッセイ・短歌などの賞を、個人や少人数で開催しているケースが増えているように感じます。
そういう賞は、クリエイター自身が主催である場合も多く、いわゆる売れ筋作品になりそうかを評価する場というよりも、お祭り的ムードや創作の楽しさを分かち合う意味合いが大きいようです。
好評を得て、複数回開催されている賞もあります。
「そういうの、自分もやってみたいな」と思う人もいるかもしれません。
じゃあどうやったら公募勢が応募しやすい賞を作れるのか?
について、以下、公募勢&下読みサイドから考えてみました。
私設賞は開催者の負担が大きいことは知っておく

これはとても重要なことですが、個人・少人数主催の賞の開催と運営は、負担が非常に大きいです。
想定以上に参加者が集まり、選考でとんでもなく疲弊している、という報告や投稿はわりと見ます。
特に第1回はどのくらいの応募数が来るのか読みにくいです。
主催者が時間と精神に余裕のある時期を、開催時期に設定するのが大事です。
私設賞の開催で大事なこと
開催前に協力者を十分集めておく
ソロで開催する方もいらっしゃるのですが、家族との時間、自分の時間をかなり潰して作品を選考することになるらしく、それで親しい人との人間関係が険悪になったり、健康問題を発したりと、かなり負担が大きそうです。
賞を作ってみたいと考えたら、主催者の負担を分散させるため、まず開催のための協力者を、事前に集めておくのがとても重要です。
協力者が多いとSNSで告知するときも効果が高いです。
「賞やってみたいんだけど」などと一度友達などに相談して、協力を取り付ける根回しを、かなり前から行っておくのが大事です。
協力者が集まらない時は、開催自体を考え直すのも一考です。
協力者には、
あたりが見つかるといいのですが、なかなか無償でそこまでの誠実さを求めるのは要求しすぎの感がありますよね。
たぶん私設賞の開催は、人の確保がかなりの困難ポイントではないかと思います(選考料を取りそれをスタッフの報酬に充てるなら別ですが……)。
なお、あらかじめ応募が来すぎてしまうことが予測される場合、先着順などでのエントリー制にしておき、応募数を確定させておくなどの手もあります。
募集要項を明確に作る
募集要項がいい加減だと応募者が混乱するので、的確に作りたいところです。
- 受賞すると何がもらえるのか(賞品なしの場合はそう明記)
- 賞開催時期(応募開始日と締切日)
- 小説賞なら規定文字数とジャンルとお題(あれば)
- 応募時に必要な個人情報は何か
- 応募作はどこに送ればいいのか(応募フォームを作っておくとスムーズ)
- 一人何点まで応募していいか
- 新作のみ受け付けかどうか。既存作の応募も可ならば、どういう既存作ならOKなのか(投稿サイト、同人誌、電子出版などで発表済みの作品はどうするか、あるいは別のところで受賞したが出版できなかった作品の応募の可否について)。
- AI使用は可なのか。一部可であればどういう使い方ならOKなのか。
- 締め切ってから発表までの大体のスケジュール
- どういうメンバーがどういう基準で選考するのか
- 選考対象外になる条件(過激描写はNG、第三者の著作権その他の権利・利益を侵害する可能性が高い作品NG、規定違反は無条件で落とす、など)
- 受賞作の著作権・出版権など権利関係はどうなるのか
- 受賞取り消しになる条件
あたりです。
おそらくwebで作品を募ると思うので、賞開催時期については、
「応募開始日の何時に募集開始で、応募締切日の何時までが受付時間なのか」
まで明記したいところです。
一人何点まで応募可能なのかについても、応募者の知りたいところです。
昨今AIで大量に作り出せるので、応募数を限定しておかないと、(私設賞は中の人が少ないと思うので)無事に中の人が死んでしまいます。
他に問い合わせがありそうなこととしては、
なども書いておくと親切かと思います。
募集要項には注意事項も明記しておく
大きな出版社の賞で書いてあるような注意書きをチェックしてみて、あてはまりそうなものは加えておくと無難です。
例
など。
とはいえ、アマチュアが開く個人主催の賞は、知り合いの知り合いくらいまでしか来ない気心の知れたものだと思うので、あまりガチガチに考えすぎなくてもいいかなと思います。
質問があったら随時答えていくくらいでも間に合いそうです。
ただ、賞を開催すると変な問い合わせが来て、その対応に時間を取られることもあるようなので、そういうことも起こりうるのだな、という心づもりはしておいたほうがよさそうです。
不安な人は、賞開催用の別アカウントを作ってもいいかも。
賞の情報は誰でも見られるところに置いておく
応募したい人がいつでも見やすいように、募集要項の情報は、
など、誰でも常時アクセスできる状態で置いておくのがベターです。
応募者からの質問事項で応募者全体に共有しておきたいこと、変更事項などがあった場合は、随時日付を入れて追記していくとわかりやすいです。
そのうえで、この募集要項のリンクを、Xなどの短文投稿サイトで定期的に紹介するのがいいかな、と思います。
応募者はいろんな賞のことを考えて生きているので、あなたの賞のことを忘れてしまいがちだと思います。何回か告知してあげるのがよさそうです。
選考過程はマメにSNSで発信する
応募者としては、自分の大事な作品を応募している賞には、安心感を醸していて欲しいものです。
選考が難航していて、あらかじめ発表してあったスケジュール通りにいかなくなりそうなときは、遅れる旨を、早めに告知してあげてください。
結果発表までは、フェードアウトは厳禁です。
スケジュールが遅れたのに謝罪もしないでしれっと発表すると、落選者に恨まれやすいです。落ちる応募者のほうが多いはずなので、敵は作らないに越したことはないです。
主催者としては、勝手に応募してきた者にそこまで気を遣う義理はない。と思うかもしれないのですが、主催者の今後の信頼に関わります。
また、賞のほうは音沙汰がないのに、他のイベントや新作の告知だけはしっかりくどいほど行うなどが観測されると、応募者としては微妙な気分になりやすいです。
情報はマメに出してあげると応募者を安心させられます。
私設賞なので上から目線になりすぎないように
権威のある賞と違って、個人で主催する賞なので、とにかく、応募作に対して、上から目線で講評しすぎないようにしましょう。
権威を持っていない人がその道にについて偉そうに話すと、「お前ごときのレベルで……」と反感を買いがちであり、誰の幸せにもなりません。
なお、もっともらしい講評などを付けたい場合は、ゲスト審査員を豪華にしておくとよいかと思います。
呼ぶのがなかなか難しそうですが……
特定の応募者と癒着しない
仲がいい友達が応募してきても、他の応募者と同じ対応をしましょう。
別に、「俺様の賞なので俺様の好きな子の作品を採る」という方針なのであれば、全然かまいません。私設賞なので。
ただ、応募者を増やして何回かやっていきたい、と考えている場合は、最低限の公平性は担保したいところです。
友達だけに有利になる情報を特別に流す、などは避けたほうがいいです。
賞開催ビギナーはこのくらいのささやかさがおすすめ
とはいえ、どういう感じに開催したらいいかわからない。
という人は、このくらいから初めてみてはどうでしょうか。
- 規定文字数は少なめ(1万字は超えないほうがいい)
- 賞金は出さない
- その代わりに受賞者には丁寧に感想や講評を書く
- 新作のみ受け付け
- 応募数の上限を設けておき、そこに達したら期間内でも募集終了にする(例:15作限定、など)
規定文字数は少なめにしておいたほうがいいです。
8000字でも、1本読むのに15分くらいかかるからです。
ならそれ4本なら1時間ですむだろ、と思うかもしれないですが、人体はそういう風に単純にはできていません。
1日に割ける可処分時間を考えて、規定文字数を設定したほうがいいです。
賞金は出さないほうがいいです。お金が絡むと揉めやすいからです。
また、過去作OKだと、応募作が増えすぎる可能性があります。
賞の性質上、友人・知人ばかりの応募になると思うので、過去作OKにすると一回読んだことある作品が来る可能性が高まります。その再読に時間を割きたいかを考えてみてください。
人気が出てきたら徐々に規模を拡大していけばいいと思います。
例えば受賞作を冊子にして配る・投稿サイト内の投げ銭機能を使って、ちょこっとだけ賞金を出す、など。
とにかく賞開催のノウハウを十分に持たないうちに、手を広げないほうがいいです。
まとめ
- スタッフの確保が一番大事かも。(と下読みサメダが申しております)
- 賞選考スケジュールが遅れそう・募集要項に何らかの変更があった場合早めに告知=信頼感大事。
- 大規模出版社の賞ではできないことは何か? 考えていくのが差別化になります。



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