ご当地ものの創作作品は、特定の都道府県や地域の情報量が多いのが特徴です。
そういうのを書いてみたいな、とか、
自分の住んでいる地域をテーマにした小説やエッセイの募集を発見したからやってみたい、自分とゆかりが深いから、書きやすいかもしれない。
と、ご当地テーマの創作に、興味がわく人も少なくないかと思います。
ご当地ものの創作を実際にやってみたサメダが、ご当地もの創作をするときの注意点や気の持ち方、ご当地創作をするメリットなどについて考えてみたのがこの記事です。
ご当地もの作品を創作するメリット

ご当地もの、特に自分とゆかりのある地域をテーマを創作メリットは、例えば以下です。
ご当地系公募がけっこうあるのでそこに応募できる
ご当地系公募は、探してみると結構あります。
毎年定期的に開催している賞もあります。
小説、エッセイ、俳句、短歌、イラストなど、求められるジャンルも色々です。
ご当地系公募は、出身者・居住者が有利なのは言うまでもないのですが、それに加えて、その地域の出身者・居住者を優遇して採用する賞や、その地域にゆかりのある人のみ応募資格のある賞もあります。
応募資格を絞り込んでいる賞は、応募数が少なくなりやすく、ねらい目なので、あてはまったら優先的に応募していくのもいいかも。
同じ地域のクリエイターとお近づきになりやすくなる
居住地や出身地を公開しているクリエイターはわりといます。
個人情報を公開することについてはリスクが伴うので、積極的に推奨しないですが、開示したら開示したらで、それなりにメリットはあります。
同じ地域のクリエイターは、その地域で開催される同じイベントに参加することが結構あり、自然と縁ができやすいです。
イベント後、お疲れ会などをすることもありますが、そういう流れの場合でも、同じ地域の人だと、実際に会うコストが少なく、会う回数も増えやすいです。
ご当地を推すクリエイターはその地域に支えてもらいやすくなる
ご当地もの創作に熱心に行うクリエイターは、その地域の賑わいに寄与する存在です。
そのため、地元書店や地元の飲食店などとの相性が良く、地域の方に支えてもらいやすいです(もちろんそのクリエイター自身が誠実だから支えてもらえるんだと思います)。
ご当地ものを書くなら、先行作を多少は把握しておく
先行作をチェックする方法
その地域で、どんなご当地エンタメがすでに存在しているかを確認しておくのは大事です。
それについては、wikiが詳しいので、そちらを見てください。
また、pixivのご当地化に厳しい作品(権利者)・自治体のページも一読しておくと安心感があります。
ご当地小説例(敬称略)
宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
この作品は滋賀県が舞台で、短編連作集の青春もの。シリーズは全3冊。
第39回坪田譲治文学賞。2024年本屋大賞作。2025年に本屋大賞10位にランクインした続編『成瀬は信じた道をいく』とともに、話題となりました。
森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』
京都の大学生もの。主人公がシャイなので、恋愛になりそうでならない、不思議現象が所々で起きるコメディ。
第20回山本周五郎賞受賞作、第137回直木賞候補作。
森見作品には、京都を舞台にしたものが多く、デビュー作の『太陽の塔』のほか、『有頂天家族』『宵山万華鏡』 『シャーロック・ホームズの凱旋』なども(広義の)京都が舞台です。
ちなみに、京都を舞台にした創作はかなり多いです。
もし京都で書くなら埋もれない戦略が必要そうです。
あをにまる『今昔奈良物語集』
「卑屈な奈良県民bot」中の方による古典文学パロディ集。
名作をベースにした作品を11作収録。
収録作の一作である「ファンキー竹取物語」は、カクヨム上で行われた、はてなインターネット文学賞大賞(2021年)を受賞。
コメディということと「卑屈な奈良県民bot」中の方の作品ということで、十分に用心していたのですが、月からの使者がキティちゃんの人形を大量にダッシュボードに置いた車で登場した時点で笑いに屈してしまいました……
山崎豊子『白い巨塔』
映画化され、ドラマ化も何度もされている有名作品。
主人公は、国立浪速大学第一外科助教授・財前五郎。彼の栄枯盛衰の話。
これはドラマ版(2003年の)だけかもしれないのですが、五郎が、義父の財前又一に「私はお義父さんの勲章になれませんでした」というセリフを言うシーンは涙を誘います。
五郎は貧しい家庭に育ち、財前家の婿養子になっているんですね。だから医局でも成功しなければならなかったし、婚家でも認めら続けなければならかった。
そんな彼の、勝ち続けなくてはいけなかった人生が、この一言に詰まっていると思います(ご当地関係ない)。
ご当地もの創作をするときの注意点
その地域にリスペクトをもって創作してください。
よく国家間でもめ事が起きますが、その一因は、互いへのリスペクトが足りないせいかと思います。ある地域を舞台にして創作するのは、それを小さくしたリスクが常に付きまとうと思ってください。
埼玉ディスりを高度に昇華させた作品に『翔んで埼玉』というマンガがありますが、あれには愛がありますし、愛があったとしても、あのような表現は大御所だから許される部分があり、また、漫画が連載されていたのは1982年(昭和57年)付近のようです。
ご当地ものに自虐を持ち込んでもいいとは思うのですが、その要素が著しいものを「ご当地系」公募に投げると、たぶんハネられやすいです。
ご当地系公募はだいたいが、ご当地を活性化しようという意図で開かれるものなので、その土地のマイナス要素ばかりを表現した作品は、普通に考えてあんまり相性がよくないです。
どのくらいご当地濃度で創作すればいいのか
それは、作ったその創作物を、誰に向けて発表するかによります。
というのも、ご当地もの創作物は、広義の内輪ネタであり、内輪ネタは、知らないと笑えないし楽しめないものだからです。
「みんながガ〇ダムを知ってると思ってしゃべるな」という名言があったような気がするのですが、そういうのと同じです。
その創作物を受け取る相手が、地域の人なのか、地域外の人なのか、どのくらいその地域を知っている人なのかを考えて、盛り込むご当地ネタ量を調整してあげてください。
不安なら、発表前に、想定読者層に近い人に、作った作品を読んでもらったり鑑賞してもらったりしてみてください。
「何言ってるかわからない」「面白いけど私が○○市をもっと知ってたらもっと楽しめただろうな」などという感想が返ってきたら、そのご当地ネタは、もう少し説明が必要かもしれません。
おすすめネタ探しスポット
郷土資料館、郷土博物館がダントツにおすすめ
郷土資料館は、その地域の歴史や文化に関する資料を収集・保存・展示する施設です。
その地域の成り立ちや、何によって発展してきたか、古今の暮らしの変化などが、実際に使われた道具や、ジオラマなどによってわかりやすく展示されていることが多いです。
あなたはその地域に住んでいますが、その期間はその郷土の歴史のほんの一時に過ぎずないため、そこだけで創作すると、どうしても創作のレンジが狭くなりがちです。
郷土の歴史を知ることで、作品に深みと説得力が出やすいです。
本やwebで見てもいいのですが、展示してある実物を見ると、それぞれの道具のスケール感や色合い、質感への理解が段違いです。
郷土資料館は、入館料があまり高くないことが多いです。ご当地ものを書くならぜひ。
ご当地ものを書いて受賞した知人がいるのですが、やはり現地に足を運んで取材してから作品を作ったそうです。
受賞作を読ませてもらったのですが、その場にいないと感じられない温度感や湿度みたいなものが作品に乗っているのを感じました。そういうのって、本を読んだり、頭の中で想像しただけでは、なかなか作れないものです。
体験してみないとわからないことは多いですし、体験できる距離にあり、お金と時間もそうかからないなら、それは惜しまないほうがいいです。
郷土資料館・郷土博物館については、Wikiに全国のをまとめたページがあるので、そこを参考にしてもいいと思うのですが、全部載っている感じではなさそうなので、実際に自分で探してみることもおすすめします。
図書館の郷土資料を探る
郷土ゆかりの偉人の文献や郷土出身作家の作品を探している場合は、図書館の郷土資料コーナーが役に立ちます。
郷土資料のコーナーには、その地域にゆかりのある人の資料や、著作物などが置いてあるので、ご当地ものを書きたい人はぜひ一回足を運んでみるとよいです。
また、図書館は、近々に地域で開かれるイベントの告知パンフがまとめて置いてあったり、ご当地イベント会場になることもわりとあり、そのあたりからご当地感を吸うという手もあります。
市民講座に行ってみる
地元の市民講座で、郷土の歴史について授業している講座が、まれにあります。
あと史跡巡りイベントとか。そういうのを探してみてもいいかも。
ご当地創作系公募に応募するときの心構え
自分の意志で応募しておいて勝手に傷つくのもおかしな話なのですが、
自分の出身地域や長く住んでいる思い入れのある地域をテーマにして作品を作り、それを公募に投げ、落選すると、受ける悲しみが、わりとすさまじいです。
その点を覚悟しておいた方がいいです。
以下は、これを書いている人の完全な主観であると前置きしておきますが、実体験エッセイをシリアスな気持ちで書いて、それが公募で落ちるより数倍、じわじわ来るきつさがあります。
人によると思うのですが、エッセイ公募で落ちると軽く人生を否定された気分になるだけのところ、ご当地ものの創作で落選すると、自分の生まれや、そこに住んできた過去全てを否定される気分になることがあります。
もちろんあなたと受賞者のご当地の思い出に価値の違いなどないですし、あったとしてもそんなことは他人からとやかく言われる筋合いのものでもないです。
また、主催者にも応募者の人生をランク付けする意図はないと思います。
そういう意味では、この記事は、ちょっと大げさに書きすぎているかもしれません。
大げさかな、と思う人は、実際、応募して確かめてみてね!
それに応募すれば入選するかもしれないし、落ちたら落ちたで、同郷のフレンズとアンソロなどを作ってご当地イベントで売ればいいと思うよ。
また、地域の開催の賞で入賞すると、ご当地の物産などを貰えるケースや、落ちても抽選で何か当たったりする賞なども探すと時々あり、ご当地公募には、そういう楽しさもあります。
これ書いているサメダは、そうめんが当たったことがあります。
まとめ
ご当地もの創作は、公募に投げてもいいし、同じ地域とゆかりのあるフレンドを作るのにも役立ちます。一度やってみてもいいかも。








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