ようこそ創作沼へ

小説、イラスト創作に役立つ情報を発信。
小説賞下読み経験者に、小説を読んで感想を書いて欲しい、記事作成して欲しい、など、ライティング系のご依頼、承ります。

詳細はこちら

【実際使ってみた】江戸時代の人物イラストを描く時おすすめの本

江戸イラスト描くのによかった本記事アイキャッチ イラスト関連

「現代ものを描いてください」と言われてすら「ファッションがわからん」となれば、江戸時代の衣装が、資料なしに書けるわけがない……

江戸描けないマン1
江戸描けないマン1

江戸の衣装がわからん。

江戸描けないマン2
江戸描けないマン2

どの本を観たら最速でそれっぽく描けるの?

というレベルの著者が、差し迫った案件をこなすことになったので、限られた納期の中、必死に探したところ、これがおすすめだ、という本を見つけました。

そういうわけで以下は、江戸の人々のイラストを描きたいけど困っている初心者向けの記事です。

『時代・人物ごとに詳しく解説! 和装・洋装の描き方』

『時代・人物ごとに詳しく解説! 和装・洋装の描き方』

この本は、2016年に発売されているので、ちょっと古めです。

しかし、コスパが最上級にいいです。

この本があればとりあえず和装の最低限のことはわかる感じがします。

というのも日本の、平安・戦国・江戸・幕末までのファッションに加え、14世紀から18世紀くらいまでの洋装の描き方も載っているからです。

それぞれはそこまで詳しくはないのですが、その時代について、連載漫画を描くなどのガチ用途でなく、イラスト一枚描くくらいであれば、全然この一冊で満足できる印象です。

この本の構成

●Part1――和装の描き方
着物の基本/着物の描き方/帯/たすきがけ/諸肌脱ぎ/
片肌を脱ぐ/女袴/袴/巫女/浴衣/甚平

【平安時代】
陰陽師/公家の童子/紫式部/藤原道長/源義経/
巴御前/弁慶/静御前/平清盛/平時子

【戦国時代】
織田信長/千利休/豊臣秀吉/お位の方/淀殿/徳川家康/
真田幸村/武田信玄/上杉謙信/伊達政宗/当世具足姿/
足軽/出雲阿国/天草四郎

【江戸時代】
大奥/忍者/遊女/禿・新造/武士/町方/
村方/髪型/褌/履物/刀の構え方

【幕末】
赤穂浪士/新撰組/松平容保/日本の洋裁

●Part2――洋装の描き方
西洋人の描き方/王/女王/貴族/貴族の子ども/
貴族の持ち物/使用人/修道女/聖職者/市民/
騎士/ジャンヌ・ダルク/剣/盾/弓/槍/斧・その他の武器

amazonの商品紹介ページより

こういう「○○の描き方」系の本は、描き方がわからずに絶望している人に特におすすめです。

くっきりした線で構造感を説明してくれていることが多い点が、イラスト描きにとって非常にわかりやすく、重宝します。

GOOD
  • 値段に対して情報量が多く実用的でコスパが超いい
  • 歴史物イラスト案件が来る人は、持っていて損はなし
  • 男女の髷の結い方(江戸)が線画で載っているので構造感がわかりやすい
  • 鎧の着付けもあるのでありがたい
  • 刀の差し方、構え方も多少載っているのでうれしい
  • 現代の和装も網羅されておりガチでコスパがいい
NOT SO GOOD
  • 紙の本はもう中古しかなさそう。電子版がおすすめ
  • 幕末というページに赤穂浪士が載っているなど謎の部分もある
  • 僧侶、神主の服装はあまり期待できない(神主の服は、陰陽師のページが代替になっているが、あくまで陰陽師。お祓い棒みたいなのは載ってない。僧は、道服を着た千利休・法衣の清盛・尼姿の時子の図はあるが、いわゆる寺の和尚みたいな服は載っていない)
  • 江戸の農民の服装は1ページしかないので、そういうのを描きたい人には不向き



『日本髪の描き方』

『日本髪の描き方』

江戸女性メインの、日本髪の描き方本です(安土桃山~昭和)。

結い上げてあると構造感が謎になり、わけがわからない……という人のために、トレースOKのイラストが用意されています

この点がすごくありがたみを感じます。

まずは写して描くことで、手が構造を覚えてくれやすいという利点があります。

デメリットは、男性の髪型については、あまりページが割かれてないところです。

男性髪型については、末尾に2ページくらい、一般的なものがモノクロで載っているので別に問題はないかもしれませんが、もっと江戸男性髪型バリエーションをいろいろな角度で見たい、という人は別の本がいいかも。

髪に付随するファッションである、櫛、笄、簪の差し方などもくわしく説明されています。

江戸では未婚と既婚で女性の髪型が違うそうなので、それについてもレクチャーされている点がありがたいです。

あと個人的にうれしく感じたのは、意外に舞妓さんを描く機会があるので、舞妓さんの髪型や簪のモチーフが載っているところも嬉しいです。

GOOD
  • 江戸女性メイン
  • 一つの髪型が、様々なアングルからの図によって、丁寧に説明されており描きやすい
  • 髪に付随するアイテムの名称が詳しく説明されている
  • 職業ごとの髪型の違いがわかりやすい
  • 年齢ごとの髪の変化コラムが嬉しい
NOT SO GOOD
  • 江戸男性髪型ものとしては物足りないかも
  • あくまで髪型の本なので、髪だけで江戸キャラを描けないことを考えると、基本的な資料を買いそろえた後に、ワンランク上を目指したい人が買いたい本、という印象



『小袖雛形ファッションブック』

『小袖雛形ファッションブック』

文字通り、小袖(着物)の着こなしと、その柄について詳しく載っている本です。

この本は実存する江戸の着物をモデルに作られているそうなので、参考にすることで、当時のムードが出やすいかと思います。

基本的に、各着物の柄につき、見開き1ページで構成されており、

  • 柄の名前
  • その着物が衣桁にかかった状態の絵
  • その着物を着た、正面(あるいはナナメ)向きの人物立ち絵一枚

が描かれています。

せっかく着物を正しく描けても、柄がいまいちだと完成度が低くなってしまうので、作画のクオリティを上げたい人にはおすすめの本かなと思います。

GOOD
  • 着物の柄が豊富に載っている
  • 着こなしも多少わかる(一枚絵なので構造感はあんまりわからない)
  • 江戸から明治にかけての履物類の図もあり便利(特に下駄の種類多い)
  • 帯の結び方(p85)が重宝する
  • 購入した人は、柄データが何点かダウンロードできる(商業、私的利用問わず使える)
NOT SO GOOD
  • 日本髪の種類もある程度載っているが、一方向からの図解。特に女性の日本髪を作図するなら、『日本髪の描き方』のほうががおすすめ





『お江戸ファッション図鑑』

『お江戸ファッション図鑑─町娘・若衆・武家・姫君・役者・芸者・遊女など』

「町娘から武家の若君・姫君、大名・女中、芸者や役者、遊女・花魁まで、様々な身分の美男美女を集めました。」と、通販サイトの説明ページに書いてある通りです。

つまり、子どもや老人、職人、農民などの服装はほぼないです。

若い美男美女だけで江戸を描けないことを思うと、この一冊だけを参考資料に使って作画するのは、少し厳しいと感じます。

ただ、この本の良いところは、『日本髪の描き方』『小袖雛形ファッションブック』を両方買うよりはコスパがいいところかなと思います。

この本には江戸の男女の髪型も大まかに載っていますし(ただし図解は一方向からのみ)、立ち絵なので足元までわかりやすいです。また草鞋の結び方例が載っているのもありがたいです。

カラーなので、江戸の着物の雰囲気が、美しく具体的に伝わってきます。

この本の構成
  • 第一章 市井の人々
  • 第二章 武家の人々
  • 第三章 芸に生きる人々
  • 第四章 花街の人々
amazonの商品紹介ページより

それぞれの職業の衣装が、若い男女に着付けられて載っています。

GOOD
  • 柄や着た時の姿が、立ち絵のカラーで分かるところが◎
  • 江戸の中でもどの時代の、どういう身分の人が、着るシチュエーションなのかが載っているので具体性がある
  • 被り物のコラムがあるので、そこもありがたい
  • たばこ入れなどの小物のコラムもあり、そこもありがたい
NOT SO GOOD
  • 載っている職業数が少ないので、求めている衣装に出会えない可能性もある
  • 老人子供を書きたい人には向かない



『江戸の衣装と暮らし 解剖図鑑』

『江戸の衣装と暮らし 解剖図鑑』

この本は、作画というよりは、絵入りの読み物として、知識を得るときに役に立ちます。

表紙絵を見ればわかる通り、素朴感のある絵で、(上手いのですが)省略が多いため、これを使って精密に江戸人物の風体を作図することは難しいです。

ただ、この本のいいところは、今まで紹介してきた本ではあまり載っていない、職人や商人の服装についての説明が結構あるところです。

文献を読むのは重たすぎる、という人のための、ハードル低めな江戸解説書として得るものは多いです。

かなりいろいろな職業の服装を押さえてくれているので雰囲気を掴みやすいですし、イラストが生き生きしていて可愛らしい絵柄なので、動きを感じます。

この本の構成
  • 1章 粋な江戸衣装の世界
  • 2章 江戸の商人たちの衣装と暮らし
  • 3章 江戸の町人女性たちの衣装と暮らし
  • 4章 江戸の職人たちの衣装と暮らし
  • 5章 自由業の人びとの衣装と暮らし
  • 6章 武家の人びとの衣装と暮らし
  • 7章 廓の人びとの衣装と暮らし
amazonの商品紹介ページより
GOOD
  • 江戸の暮らしについて絵入りで楽しく知りたい人向け
  • これを読んで小説や漫画のネタにする、などの方向に向いている本
  • 庶民の説明ページが多めなので、庶民を描きたい人に向いている
NOT SO GOOD
  • 挿絵は躍動的で上手いが、省略系の上手さなので、作図の参考にはならない。あくまで、江戸知識を深めたい、余力のある人向け

ところで、この本を出しているエクスナレッジは、最近クリエイター向けに特集の傾向を振っている『建築知識』で知られる会社です。

エクスナレッジで建築知識以外におすすめの本は、この『江戸の衣装と暮らし 解剖図鑑』などの、解剖図鑑シリーズです。

解剖図巻シリーズは、手っ取り早くその分野について知りたいときに役に立ちます(神話、名建築、歌舞伎、古典などいろいろ出ています)。

江戸系だと『江戸吉原 解剖図鑑』、『忍者の技術 解剖図鑑』などが場合によっては役に立つかも。

解剖図鑑ではないですが、建物解説ものだと、『縄文から江戸時代まで 日本の家と町並み詳説絵巻』が比較的おすすめ。



まとめ

『時代・人物ごとに詳しく解説! 和装・洋装の描き方』はかなり実用的でコスパ高

『日本髪の描き方』も、江戸の髪型はややこしい上ルールもあるので持っていると安心感がある

他の本はクオリティを高めたいときにおすすめ。

イラスト関連記事こちらにもあります↓
このブログを書いている人
サメダ

小説を読むのが好きで、一般文芸系小説賞の下読みを数年しています。
公募勢でもあり、これまでの獲得賞金は180万超。
このブログでは創作、公募について発信していきます。記事内容は、公式とは無関係で、著者の主観による部分が大きいことをお断りしておきます。
文章書き、小説感想書きのお仕事承ります。問い合わせフォームからメッセを投げてみてください。

サメダをフォローする
イラスト関連
シェアする
サメダをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました